【レポート】5/24(火) 令和4年度 第1回講演会

岐阜県IoTコンソーシアム
「令和4年度 第1回講演会を開催しました。

今回も昨年度同様、総会は書面表決に代えさせていただき、講演会のみオンラインとサテライト会場のハイブリッドで開催いたしました。100名を超える方々にご参加いただき盛会となりました。書面評決において4つの議案すべてが承認され、おかげ様で岐阜県IoTコンソーシアム5年目の活動が開始いたしました。講演会は2部構成で第1部は「中小企業のDX戦略 ~デザイン思考、知財戦略の視点から~」という演題で独立行政法人経済産業研究所の西垣淳子氏にご講演いただきました。第2部は「DX事例紹介」とし、岐阜県内でDXに取り組まれている企業の代表者様にご登壇いただき、自社の取り組み事例について発表していただきました。

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開催日時:令和4年5月24日(火)13:40~16:00

会  場:1.オンライン
     2.サテライト会場(ソフトピアジャパンセンター 12F レセプションルーム1)

1. 13:40~ 開会

  岐阜県IoTコンソーシアム 松島理事長 あいさつ

2. 13:45~ 岐阜県IoTコンソーシアムからのお知らせ

  岐阜県IoTコンソーシアム 尾﨑センター長 お知らせ
   ・書面評決の結果(会員総数281名、うち賛成206名、反対0名、無回答75名)と令和3年度の
    事業報告と収支決算および令和4年度の事業計画と収支予算が承認されたことを報告。
   ・令和4年度事業計画
   ・令和4年度収支予算
   ダウンロードはこちら(PDF:208KB)

  岐阜県IoTコンソーシアム 太田室長 お知らせ
   ・令和4年度岐阜県IoTコンソーシアムワーキンググループ事業費補助金について

3. 14:00~ 第1部 講演会

演題「中小企業のDX戦略 ~デザイン思考、知財戦略の視点から~」
講師:独立行政法人経済産業研究所 上席研究員 西垣 淳子 氏

    

【講演の概要】
主に3つのパートでの講演。
1.ものづくり企業のDX どの軸の話なのか?
ドイツが掲げたインダストリー4.0に対抗して、日本はコネクテッドインダストリーズ※1を打ち出したが、このコンセプトによって、かえって製造業は、自分たちのデジタル化の立ち位置やゴールが見えにくくなったのではないか。それゆえ、DXについて議論するときは、自分の立ち位置や何をしていったらいいのかなど、頭の中に軸をおいて話さないと議論がかみあわないことになる。デジタル化の進展に伴い人的要素(競争力の源泉)はエンジニアリングチェーンへとシフトしているが、日本ではエンジニアリングチェーンのデジタル化がなかなか進んでいないのが現実。
※1経済産業省が2017年に提唱した概念で、主に製造業を対象とした「データを介して、機械、技術、人など様々なものがつながることで、新たな付加価値創出と社会課題の解決を目指す産業のあり方」のこと。

2.なぜ今経営にデザインが必要か?
デザイン経営とDXは課題感から入るというところで同じだと考えている。DXは、自分は何をやりたいのか、自分たちの企業はいったい何を商品開発サービスしていくのかといった「何をやりたいのか」といったところから考えていくもので、デザインは、ユーザーをしっかり見る、ユーザーと一緒に作り上げていく、それによって自分たちのビジネスが何なのかというところに立ち戻っていくという点がDXと共通している。日本ではデザインという言葉は「外見的・最終的なデザイン」という意味合いが強いが、中国ではデザインを“設計”と訳し製品を作る前段階のことを指す。これからのモノづくりは言われた通りに作ることよりも、エンドユーザー(顧客)が必要とするものに対し、どれだけ近くに立ち、どれだけ早く提供できるかというユーザー中心のビジネスへのシフトが必要で、これからの価値を生み出す仕組みを構想する=経営をデザインすることが重要。

3.デザイン経営と知財
日本は知財立国と言われているわりに知財活用がうまいといえない。デザイン経営を進めていくと自分の価値(知財)を見極めるということに繋がっていく。この価値や自分たちのブランドをどうやって守るかを考え、契約の際は知財を意識して取引することが大切。

4. 15:00~ 第2部 DX事例紹介および意見交換会

登壇者:株式会社艶金 代表取締役 墨 勇志 氏
    株式会社ASALITE 代表取締役 長尾 有 氏
    株式会社セイノー情報サービス 代表取締役社長 林 秀樹  氏
モデレーター:岐阜県IoTコンソーシアム 理事長 松島 桂樹
コメンテーター:独立行政法人経営産業研究所 上席研究員 西垣 淳子 氏

「SDGs視点で新商品開発」
株式会社艶金 代表取締役 墨 勇志 氏

岐阜県大垣市にある洋服生地の染色企業。大量の水とエネルギーを使用するためCo2排出量が多い産業。SDGsに取り組むきっかけは、主要取引先であるアパレル業界がサプライチェーンの中で環境負荷が高い産業であること、海洋マイクロプラスチックごみの問題(マイクロプラスチックはポリエステルの洋服の割合が多い)。大量生産・大量消費・大量廃棄を問題提起し、自社ブランド「KURAKIN(クラキン)」「retricot(リトリコ)」を立ち上げた。

(西垣氏コメント)自社ブランドはこれからどんどん知名度を上げてくと思う。メッセージ性としての大量生産、消費・廃棄に対しての問題提起、問題に対しての解決策としての自分たちの地産地消的なもの・ブランドを伝えることによってしっかり長く使ってもらうこと、実際に作っている量と購買されている量がどれだけ違うかがデータに基づいていることなど一貫していてすばらしい。

 

「製造業でもリモートワーク」
株式会社ASALITE 代表取締役 長尾 有 氏

岐阜県養老町にある草刈り機販売の会社。品質管理(専門職)の人材が高齢のため後任を探すが、不便な地域のためなかなか見つからず。補助金を活用し品質管理のリモートワークの導入に取り組む。また、品質管理以外の部門でもリモートワークを推進し、対策前はリモートワーク率が0%だったが、現在では41.7%(12名中5名)。なかなかみつからなかった営業もテレワークで1名採用した。

(西垣氏コメント)製造業でリモートワークというはものすごく画期的な話。その中で三現主義や属人化はBCP上も大事。リモートワークという必要性を生んだのはその場所から引っ越せない、引っ越せないからここでなんとかできないかと考えたから。営業の求人募集に人が殺到したということもすごく分かる。フリーランスは雇う側にもメリットで、本来ならもっと高い価格が付く人を雇えるようになる。これからの働き方も時代の先端としてものすごくいい事例。

 

「『持続可能な物流』を実現する物流DXの取り組み」
株式会社セイノー情報サービス 代表取締役社長 林 秀樹  氏

岐阜県大垣市の西濃運輸グループのIT会社。「物流」は社会インフラになっているか。その命題を達成するために、内閣府の戦略的イノベーションプログラムに応募し、プラットフォーム事業としてスマート物流サービスを構築中。また物流現場の効率化(DX化)にも取り組んでいる。開発した「BRAIS(ブライス)」技術により人の作業の80%を削減。

(西垣氏コメント)AGVとIoTの連携はまさに製造業では工場の中でやっているような話で、物流の世界はこういうことなのだなと。それがさらに外に出ていったときに、最後の運ぶところがスマート物流だが人手不足が喫緊の課題。「BRAIS」を商標登録してぜひリーディングカンパニーとしてますます頑張ってもらいたい。